令和6年2月21日(水)、本校体育館にて、令和5年度 第63回生 卒業証書授与式を挙行しました。
〇開式前の静慮
静慮によって、落ち着いた心で式に臨みます。
〇会場の様子
コロナ禍以来5年ぶりに関係中学校長様をはじめ、
本校に縁のある来賓の皆様をお迎えするとともに、
教職員有志による
プロジェクションマッピングを実施するなど、
63回生の晴れの日に花を添えていただきました。
〇学校長式辞
第六十三回生、百五十八名の卒業生、
ならびに保護者の皆様、本日はご卒業、
誠におめでとうございます。
今、振り返ると、中学時代からコロナ禍を経験した皆さんは、
大きな不安を抱きながらの高校入学だったと思います。
全員がマスクを着用する中での入学式、
その後も様々な制限、制約がある中で、高校生活がスタートしました。
みなさんは、本校に入学した日から、
今日の日に至るまで、それぞれがそれぞれの歩幅で
歩んだ三年間でした。
あきらめそうになった日も、
くじけそうになった日も あったことでしょう。
人生の進路を決めていくには、
難しい状況が 幾つもあったことだと思います。
しかし、みなさんは最後まで、やり抜きました。
これまでのみなさんの努力に対して、深い敬意を表します。
さて、校門の掲示板に書かせて頂いている 句を紹介いたします。
「生涯の 友 一人得て 卒業す」
浅野右橘(ゆうきつ)という方の俳句です。
市川高校で一生涯の友人ができた人も、そうでない人も、
自分の中にいるもう一人の自分が、
実は、一生涯の友人でもあります。
自分の中にいる、もう一人の自分。
このことを学んだのが、本校の「坐禅」の授業でした。
皆さんは、「自分の中に、生まれながらにして もう一人の自分がいる」
ということを学びました。もう一人の自分とういうのは、
「仏の心」を持っている自分です。
自分の中に、もうひとりの「仏の心を持った自分」がいる。
日々の生活の中で、時に喜んだり、
泣いたりしている「自分」がいる一方で、
静かに我を見つめる「もう一人の自分」がいる。
この二人の自分が、普段の生活の中で、
繰り返し、繰り返し対話をしていると言われます。
例えば朝、目が覚めるとき「もう少し寝ていたいな」という自分と、
「いや、もう時間だから、起きなあかん」という自分、
布団から起きあがると 次は、
「今日は少し体が重いな」、という自分と
「体が重い。でも、深呼吸してがんばろう」という自分、
歯を磨きながら鏡の前で「今日の授業は、気が重いなぁ」、という自分と
「今日の授業は、大事なところだから、頑張らなあかん」という自分。
……このように私たちは頭の中で、無意識に自分と対話をしています。
この無意識の自己対話が、
その人の考え方や行動の基礎になっていきます。
そして、この自己対話の内容に、
プラス思考が多いか、マイナス思考が多いかで、
その人自身の行動を変えていくことになります。
大切なことは、自分の中にある「仏の心」を自覚することです。
もともと、自分の中に 「仏の心」を持っているということを
理解していれば、自然にプラス思考で 未来を照らすことのできる
人間力が育ちます。
世界を舞台に活躍している大谷翔平選手も
「自分と向き合う時間」を大切にしています。
高校時代から「目標達成シート」で、夢と目標を見える化し、
練習ノートで振り返る。そして、トレーニングでは
静かに、黙々と基本練習をこなして、
ひとり、自分を鍛え続けているそうです。
スポーツに限らず、人が強くなる方法のひとつは、
孤独に自分と向き合うことです。
一人はつらい。つらいですが、
一人の時間をつくり、自分の弱さを
見つめ直すのは大事なことです。
独りで考え、独りで答えを出すことでしか
得られないもの、それをみなさんは、
「坐禅」の授業で学びました。
市川高校で共に過ごした日々を、出会いを、
みなさんひとり一人の宝物として、
大切に胸に抱いて母校を巣立っていってください。
そしていつでも母校へ、
「ただいま」と言って帰ってきてください。
本校の教職員は、卒業してもずっと
みなさんの 輝く未来を応援しています。
卒業生のみなさん全員が、
幸せな人生を歩まれることを心からお祈りして
式辞といたします。
〇理事長戒辞
校訓に曰く、
私たちは 崇高な精神を養い
健康な身体を鍛え
互いに敬い 互いに愛し
円満な人格を完成します
「崇高な精神」とは、何か
「円満な人格」とは、何か
この3か年、週1時間づつ、坐禅をしていただきました。
あなたと私、親と子、先生と生徒
「あなたの私」・「私のあなた」
「子の親」・「親の子」
「生徒の先生」・「先生の生徒」
たった1字の違いで、
「と」の関係から「の」の関係に
心を1つずつ開いていく。
私という存在の奥深くに、
何とも言えん、うれしい、有難い、申し訳ない、
ええ奴がちゃんといる。
「よし!」と覚悟を決めて、
力いっぱいの努力をしてください。
人生には、嬉しいことも辛いことも沢山ありますが
これだけは言える。
苦労しない事には、涙を流さない事には、
本当に大事なことはわからない。
しっかり努力をして、
本当に大事なことがちゃんとわかる一人ひとりであるように、
安心できる・信頼できる一人ひとりであるように、
それぞれの立場で、それぞれの今を、
しっかり頑張りましょう。
63回生はコロナ禍の2021年に入学し、
普通の高校生活が送れない中、
修学旅行でのSDGs体験や
ユニセフから講師を招いて平和学習を行うなど、
新しい市川の色を開拓してくれました。
それぞれが掴んだ進路先でも、
市川高校で培った「円満な人格」を
磨き続けてほしいと思います。
ご来賓・保護者の皆様をはじめ、
第63回生 卒業証書授与式の挙行にあたり、
ご協力いただきましたすべての皆様に
心より感謝と御礼を申し上げます。